成長の夏、感謝の夏、そして実りの秋へー監督に聞くー

日記

近大戦を最後に丸々二か月半も未更新で本当に申し訳ありません。

7月に予定されていた二つの練習試合が中止になったということもその理由のごく一部ではありますが、私が日々の練習、そして夏のハイライトである菅平合宿で選手、監督、コーチ陣と同じ時間を過ごし同じ汗と涙を流していないということが、全く正当化されない情けない理由です。裏を返せば、私ごときが恐れ多くも書かせてもらっている「朝大ラグビー部がどうしたこうした」という駄文が、皆様のお目にふれなかったこの間に、選手たちと指導陣がどれほどに濃密で充実した時間を過ごしたかということでもあります。

瞬く間に季節は移ろい、関東リーグ戦開幕を目前に控えたこの時期に、春のオープン戦から大阪遠征を経て夏の強化合宿そして先日の第11回在日コリアンラグビーフェスティバルまでのチーム作りについてオヒョンギ監督にお聞きしました。

オヒョンギ監督(談)

今季のテーマはズバリ「新しい戦術の獲得と実践」です。

今までやってきたこと、朝大ラグビー部の基本形に新しい引き出しを創るということにチャレンジしようと。限られた部員数、戦力の中で、一つでも多く勝って順位を上げるためにはその挑戦が必要ですし、今のメンバー、チームなら十分出来るという信頼、手応えもありました。

春以降はまず、新しい戦術を発揮するための体力と技術の習得に取り組みました。新しい戦術に対する理解を深め、同時にそれを実践できる体を作っていくということ。

シフトチェンジするということはしかしかなり難しいことで、試行錯誤する過程でコーチ陣や選手の間で葛藤もあったわけです。

今まで通りで行く方がいいんじゃないかっていう。

選手たちが「新しい戦術」に「合わせよう」とするあまり「窮屈なラグビー」になってしまうこともあったりしました。

元に戻るか、この新しい道を進むか。

この葛藤の中で、リーグ戦をどう戦うかというテーマに対して「ラグビーの質を追求すべき」という答え、そしてそのためには簡単ではないが「新しい戦術」にフォーカスしていこうという決意をチームで共有することになりました。

葛藤からこの結論に至るのに、選手の覚悟と努力が必要なのはもちろんですが、特にコーチ陣の役割が大きかったと思っています。

日々の練習を共に過ごしているリャンジョンテ、キムヘングァンの大学教職員コーチはもちろん、菅平合宿を含めこの夏から臨時コーチとして一緒に練習を見ていただいているОBの存在が本当に大きいです。

戦術とデータの分析に長けていて、私との間で徹底的に協議してそれを選手たちに還元してくれるというところが、この夏のチームの成長を大きく支えてくれました。本当に感謝、感謝です。

菅平での三試合、龍谷大、大産大、日大に連勝しましたが、勝敗の結果より取り組んできたことを実践できて、それに対する自信を選手たちが持てたということが最大の成果だったと思います。

特に最終戦の日大戦は「戦術の100%遂行」が目的で、「やってきたこと」をある程度表現できたという手応えを十分得ましたし(50―24)、先月(27日)のラグビーフェスティバルでの明治学院大戦(負傷者が続出し、最後の15分を14人で戦った)は、「戦術100%遂行+個人の判断とコミュニケーションの融合で勝利」という目的を達成し、私が珍しく(笑)「いい!」と賞賛できるほどの見事な表現でした(40-28)。

「新しい戦術」と言いますが、大事なのは選手がその戦術に「沿う」とか「ついていく」のではなく、「自分たちのもの」として昇華させていくことなのです。

その点で、当初想定したよりも早く消化できたという手応えを正直感じています。コーチ陣のサポートのおかげもあり計画を上回って達成できたと。

ただ同時に、負傷者が多くて万全のチーム状態でリーグ戦を迎えられないこと、ポジションの変更を余儀なくされることに頭を悩ませてもいます。選手たちにはいくつかのポジションを兼任することが求められ、なおかつ各ポジションの役割向上が求められます。

これが非常に難しい。ポジションが変わることはその本人はもちろん、周りも不安になるものです。現に明治学院大戦でも、このポジションにこの選手がいないと出来ないという部分、プレーが一部に見受けられました。

ここのところをどう克服するか。「ないものねだり」をしてもしょうがないので、可能な戦力、可能なポジションで相手の戦術を見据えた上で自分のものとした「新しい戦術」をいかに発揮できるか。

確かに負傷者は多いですが、底上げされた力と戦術でリーグ戦を戦っていく決意です。

8月23日、菅平合宿最終日、最終戦の日大戦を途中から観戦することが出来ました。(私の役目は荷物車の運転です。)

スコアはわからなかったのですが、選手たち、監督、コーチの顔を一目見て、どれだけ充実したいい合宿を過ごしたのかよくわかりました。試合に勝ってるから、という以上に、合宿の成果、チームと個人の成長と自信が、本当にキラキラと輝いて眩しく目に飛び込んできたものです。その「第一印象」は、夜の打ち上げ(ОB会副会長の大量の焼肉の差し入れ!)の席での「合宿頑張った表彰」に興じる指導陣と選手たちのはじける笑顔と笑い声でさらに増幅されました。監督が話してくれた「新しい戦術」のための努力と苦労と葛藤がどれほどのものなのか、私は知る由もありません。

ただ、その努力を共に重ね苦労を共に乗り越えた者たちだけが共有できる笑顔と自信と達成感が目の前にあることは十分すぎるほどよくわかりました。

今年はかなり強い、かなりやるぞ、という手応えを強く感じると同時に、この時点で腕を吊っている者、足を引きずっている者など負傷者が目についたのも事実です。

ラグビーフェスティバルでの明学戦も、「14人で快勝した」ことの喜びと手応えより、リーグ戦開幕に間に合うのかという心配を大きくさせました。

「層の薄さ」という話ではありません。部員数23名(うちマネージャー2名)で関東リーグ2部を守り続けている朝鮮大学生ラグビー部の奇跡的ともいえる戦い(対戦する大学のほぼ一学年の部員数)に対する限りない誇りと、ほんの数人が負傷することで試合自体出来なくなるかもしれない心配と無念さが、絶えず絡み合って同居している何とも言えぬこの気持ち。

言い訳も弁明も殊更深刻な顔もせず、状況がどうであれ常にさらなる高みを目指してベストを尽くす選手たちと指導陣の姿に、心打たれ鼓舞される日々が続きます。

この新しい挑戦と成長の夏を振り返って、その成長を力強く後押ししてくださった朝鮮大学生ラグビー部父母会のオモニたちへの最大の感謝を申し上げないわけにはまいりません。

学内合宿の期間中、遠く小平まで膨大な食材を持ち運び、選手たちの食事を作ってくださったオモニたちにただただ頭が下がるばかりです。オモニたちのご苦労があってこそ、ラグビー部が目指した「新しい戦術」を可能たらしめる身体が作られ、オモニたちの期待に報いるための選手たちのモチベーションが高まったことは言うまでもありません。こんな短い文章ではとても言い表せないのですが、この場を借りて厚く厚く御礼申し上げる次第です。

本当にカムサハムニダ!

オモニたちの、そして全ての学父母、同胞、朝高ラガーマンの期待と応援と注目に、誇り高き朝大フィフティーンは魂のプレーと結果で必ずやお応えします!

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