「あと一歩」がこんなにも遠く険しいのか

日記

朝鮮大学校17-26白鴎大学

共に四戦全敗、視野に入ってくる入れ替え戦を見据えて、互いに「絶対勝たなければいけない試合」。

それを多分に意識した監督の檄だったと思います。

「先輩たちが繋いでくれたこのステージ。歴史を変える試合をしよう!朝大ラグビー部のプライドを持って、チョーデーは強いということを白鷗にみせつけよう!」そしてこう続けました。「前半どうとかではない。80分後に笑顔でいることが全てだ!」

この言葉が奇しくも、そして悔しくも「反対」になってしまった悔しさだけが残る敗戦でした。

素晴らしい序盤、笑顔で終えた前半戦。

20分まで互いの22mラインの内側で一進一退の攻防が続くも、「学習、練習通り」(指導陣)の組織ディフェンスで全くゲインさせません。20分、SОキムスジンが自陣でボールを拾うとスルスルと抜け出しゴール前に。最後はピッタシついていたFLリスンジンに渡り先制のトライ!(キムギョンセン主将がキックを決めて7-0)

その後もずっと敵陣でのプレーが続きます。

初めて自陣22mラインを越えられたのが28分。ここでラインアウトからモールを押されトライを奪われます。(7-5)

しかし、モールを押されたのはこれが最後で、終了まで体格に勝る相手渾身のゴール前モールをことごとく阻止します。だからこその「いける!」という確信でした。40分にはキムギョンセン主将がペナルティゴールを決めて10-5で前半を終えます。

先に「笑顔の前半戦」と書きましたが、それはベンチ(の内面)のことで、ハーフタイムに修正課題を語り合う彼らの表情には笑顔の代わりに「まだまだ」と「もっと」の厳しさと手応えがまぶしく滲んでいました。この「手応え」が慢心に繋がったということは絶対にありません。手応えは自分たちに対する自信であり、その自信を共有しながら後半キックオフから攻め立てます。敵陣でプレーを続け、5分にゴール前の波状攻撃から一年生LОハンファンガンが中央に飛び込んで(キック成功)17-5。

点差よりも朝大が主導権を握り多くの時間を敵陣でプレーするその展開と内容に、私は「いける」という思いを強めていました。

繰り返しますが、選手たちに安心も慢心も緩みもなかったと信じています。しかし、その思いだけで勝てないのが(必死に向かってくる)相手のいるスポーツなのでしょう。選手交代、戦術の変更、彼我の思いと力量が複雑に作用しあいからみ合って形勢は徐々に変化し始めるのです。前半、「うまさ」で上回っていた朝大を「力」で抑えにかかる白鴎大。ブレイクダウンでのスピードとパワー(特に巨漢外国人選手)で劣勢に立たされ始めた朝大に焦りが生じます。

そう、あったのは安心や慢心ではなく焦りでした。

PGのチャンスに、ベンチから「3点!」の声がかかるもトライを取りに行ったり、自陣ラインアウトをクイックで入れたりと、早く次のトライを取らなければという焦り。そしてそこから「必然的に」多くなるペナルティ。後半12分から20分間に3トライを奪われ、さらに増した焦りの中で、敵陣深く攻め込みながらのペナルティが続きます。

力、フィジカルで上回る相手に、「うまさ」で挑み勝機を見出そうとする今季の朝大。プラン通りの試合運びで三分の二を優勢に戦いながら、最後の三分の一で「力負け」。

国学院大に2点差、白鴎大に9点差。明らかに上位チームとの差は縮まっています。(ちなみに白鴎大に昨季は19-42,2年前はコロナ禍で試合がなく3年前は0-38)

本当に、本当に勝利まで「あと一歩」なのですが、その一歩が「運」でも「偶然」でもない「力負け」故の、決して容易くはない、厳しいものであることを、誰よりもわかっている選手たちだからこそ、会話もない呆然と放心の試合後のベンチでした。

山梨に続きさらに遠い栃木まで来てくださった学父母に、勝利を届けられなかった悔しさと申し訳なさもあるでしょう。(追い打ちをかけるような帰りの高速大渋滞もあり、本当にコマッスンミダ、そしてミアナムニダ。)

しがし、下を向いてばかりいられないのは百も承知のわがラグビー部です。試合の分析、次戦の戦術、その実践のための練習に選手たちの闘志と笑顔が再び、新たに融合する日々が続いています。

残り二戦、負傷者、マネージャーを含む23人が全力を尽くす朝鮮大学校ラグビー部に、皆様の力強い激励とご声援をお願いします!

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