手を替え品を替え

日記

アンニョンハシムニカ。
朝大ラグビー部監督の呉衡基です。

前回に続きリーグ戦の総括、そして前回と違った角度から新チームの課題を書きたいと思います。
今回はチームの得点力、そして4年生が抜けた穴について書きます。

まず、我々が奪ったトライは22トライ。内訳はこんな感じです。

パッと見ると、ラインアウトモールからトライのパターンが多かったことがわかります。ここに関しては凄く自信になった部分でした。2部の上位チームからもモールでトライを奪った経験は確かな自信となりました。来季はいかに敵陣深いエリアでラインアウトのチャンスを得られるのかが一つの課題になります。BKのプレイヤーはキック能力の向上が重要になってきそうです。

今年度リーグ戦で奪ったトライは合計22トライですが、このうち9個のトライをWTBの許龍旭が決めています。ラインアウトモールからそのまま持っていったトライが7つ(崩れた後のサイドアタックを含む)なので、モールを除けばほとんどのトライを龍旭が取ったことになります。もちろんWTBというポジションなので最後にトライチャンスが巡ってきた訳なのですが、中には完全な個人技でトライラインを越えたものもありました。

リーグ戦9トライのWTB龍旭!

龍旭は4年生ですので、来年度は同じように龍旭にボールを集めることは出来ません。ATのパターンを増やし、トライラインを越えられる選手が多く出てこなければなりません。一撃でトライを取れる選手が必要と言う訳ではなく、全員で相手を崩してトライを取り切る、フィニッシュは誰でも良い、そんな「自分たちの形」を作る必要があります。

そのためには、まずはトライチャンスの絶対数を多くする必要があります。セットプレーからの構想されたアタックが重要なのはもちろんですが、攻守の切り替わりのシーン、所謂アンストラクチャーでの意思決定とリアクションスピードの向上が重要です。今季は意外とアンストラクチャーでのチャンスをモノにできませんでした。1試合にあと1トライ、2トライ多くチャンスで取り切れるようなチームになれば、もっと良い試合が出来るはずと感じています。

その上でセットプレーを安定させ、確実にアタックを開始させられるようになればもう1つ2つチャンスが訪れます。セットプレーの強化は来季のマストのタスクになります。そのためにも特にFWの選手はこの期間の体つくりが重要です。我々のような少ない人数のチームは練習時にスクラムを8対8のライブで組むことが出来ません。この数年、これが1番のネックになっています。毎年、高麗の先輩たちに合同練習をお願いしていますが、これが非常にためになっています。普段のトレーニングから試行錯誤しながら、合同練習でライブを組める機会を大切に、より良いセットプレーを目指して精進していきます。高麗の先輩たち、来季もよろしくお願いいたします!

1部レベル(東洋大学さんとの試合で)のスクラムの経験は素晴らしい経験へ

さて、龍旭の話をしましたが、今年の4年生が抜ける穴をどのように埋めて、そして発展させていくのかも大きな課題です。4年生が抜けた今、新チームの人数は18名です。全員が2部で戦えるレベルで準備しないといけません。もちろん来季の新入生も含めて。

人数的なものもそうですが、特に若いフロントローを後ろから支えた両ロック、主将の金誠宇と金昇志の存在は非常に大きいものでした。スクラム、ラインアウトをはじめセットプレーを例年に比べ比較的安定させられたのはこの2人の献身があったおかげと言っても過言ではありません。実際に2人が怪我や実習で抜けた試合はだいぶ乱れてしまいました。セットプレーの重要さは先述の通りです。

両ロックの4年生、誠宇と昇志

また、ゲームを作るSHの裵柄賢の存在も大きかったです。梁正泰コーチのSHに対する高い要求性を正面から受け止め、4年間で最も成長したうちの1人です。チームに欠かせない存在へと成長してくれました。高校時は試合に出ていなかったと聞くと驚くレベルです。

SH柄賢!良いプレーヤーになりました。

BKラインの白驥浩、権熙燮の両名も良い役割を果たしてくれました。驥浩は体が痛くても痛い顔をせず常に全力でプレーしてくれました。怪我をしていて試合に出られなくても、練習ではDFに立ってくれました。練習中にミスをしていても試合では何かやってくれる、そんな気持ちにさせてくれるプレーヤーでした。

WTBの驥浩!気合の入ったプレーヤーです。

熙燮はいつもイジられながら(笑)、我の強いBKの面々を上手くラインにしてくれる、そんな存在だったと思います。熙燮がいたおかげでBK個人の点が線になり、上手く機能するようになりました。最後の入替戦前の練習で怪我をしてしましたが、朝大ラグビー部員らしく最後までやり抜きました。

CTBの熙燮!この写真、抜かれてないか?

4年生の中でもFL宋将輝はあまり試合に出る機会を得られなかったプレーヤーでした。神戸朝高ラグビー部最後の1人として朝大でラグビーを続けることを選んでくれました。この1年間は試合に出られない悔しさや、上手くいかないもどかしさ、菅平合宿で死ぬほど怒られたこと、良い経験をしたんじゃないかと思っています。そんな将輝ですが、最後までもがいてくれました。「俺には無理だ」と投げ出さなかった。やめちゃう子も多い中で。その姿は後輩たちの目にも焼き付いたと思います。4年生というプライドを捨てて後輩たちにもアドバイスをもらいにいく姿勢は今後の朝大ラグビー部に必要な重要な文化の一つを作りだすきっかけになったと思います。

FLの将輝(写真右上)!最後まで一生懸命でした!

何より、4年生の仲が良かったことが非常に良い影響を与えたと思います。春先に止むを得ない事情で退学することになった仙和も入替戦の前にメッセージ動画を送ってくれました。それほどに。でも、彼らの3年生までは「ただ」仲が良かった。今シーズンに入って、特に菅平合宿において、思っていることを言い合える、互いを尊重する、違うことは違うと言う、納得いくまで話し合う、こんな文化の礎を築いてくれたと思います。これは、4年生が抜けた後、「穴」にしてはいけない部分です。

仲の良い4年生!

4年生が抜けて、「あの先輩がいれば」と無いものねだりをするのは簡単です。「人数が少ないから」と言い訳をするのは簡単です。ないものはない、今あるものをどうやって「良く」するのか、こうやって発展してきた朝大ラグビー部を来季はもっと「良く」してくれることでしょう。

「無いものねだりをせずに手を替え品を替え」、大阪朝高の前監督である金信男先生の教えです。素人軍団を花園へ連れていった先生のように、推薦を取れない大学が、在日朝鮮人だけの大学が、関東大学リーグ戦1部、そして大学選手権を目指す。ロマンです。

次はチームの結束という点でまた書きます。
多分次が最後です。

時間がある時にのんびりやります。

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