キムスリュン選手の1年前のコメントに思う

日記

ラグビートップリーグが開幕して2週間。

ラグビー界とファンと朝鮮大学校を含むウリハッキョ界(?)で話題になっているのがキムスリュン(金秀隆)選手です。

世界の頂点を競う強豪国のトップ選手9人が居並ぶクボタスピアーズのスタメンを、開幕から2試合続けて張りフル出場、2戦目の2月27日の東芝戦でリーチ・マイケル選手と競い合っての初トライーこれらは皆さんご存知だろうと思いますが、このタイミングで、ちょうど1年前の1月、クボタへの入団が発表された時の彼のコメントを紹介させていただきたいのです。

同期入団の選手たちーその直前の大学選手権決勝を戦った早稲田、明治の選手をはじめ高校日本代表、U20日本代表、関西大学代表など錚々だる経歴を持つ大学ラグビー界の有名選手たちーにふれた質問への答えでした。

「同期入団の選手たちは化け物ばかりです(笑)。(大学ラグビー界のトップでやって来た)彼らと環境の違いとかやっぱり大きいと思いますし、最初は差があるとも思いますが、入ってからの自分の努力、気持ちで必ず追いこし勝てると思っています」。

あれから1年。「化け物たち」との差がどのぐらいあって、「自分の努力」がどうだったのかは知る由もありません。

ただ、1年後の開幕のスタメンを勝ち取ったのはキムスリュンでした。

もちろんこの2戦のスタメン、フル出場を持って何らかの結果や評価が定まるということにはならないというのは当たり前です。チーム内の競争を含めて、トップリーガーとしての闘いは始まったばかりだと言えるでしょう。

しかし、です。

同期入団の早明の選手が満員の国立競技場で大学選手権決勝を戦った数週間前に、小平市の朝鮮大学校グラウンドで関東リーグ2部、3部入れ替え戦を戦っていたキムスリュンが、あのメンバーのスタメン、しかもFBでフル出場しトライをあげるーこのことが朝大関係者のみならず全ての同胞、ウリハッキョ関係者に与えてくれる喜びと誇りは本当に大きいと言っていいと思います。

学校の名前や規模や環境が全てではないぞ。そのことを確かめ胸に刻み、言い訳にしないという決意を持って前に進まねば、と思わされるのです。

1年前、キムスリュンはこう結びました。

「朝鮮大学校に来たからトップリーグのチームに入れたと思います。朝大に来て本当によかったと心の底から思っています。今までいただいてきた同胞たち、先生たち、トンムたちの愛情と支えに、自分の活躍で恩返ししたいです」。

「恩返し」はすでに、確実に始まっています。

ボールを持って突破するのが大学時代に2部リーグ戦で大活躍した金秀隆選手(現クボタスピアーズ)
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