朝鮮大22-49白鴎大
前2戦のスタメンだったキムグァンスが体調不良で欠場も、2戦を怪我で欠場したリジスとチョンソヌ、前戦欠場のカンジョンフンの3人がスタメン復帰。待望の初勝利への期待が膨らむ。「体を張り続けよう。しんどくても痛くてもみんなが体を張り続けよう!」。オヒョンギ監督の檄を見事に実践した前半そして後半途中まで、期待通り、否、期待が確信に変わる数歩手前まで激しく戦った朝大フィフティーンだった。何より、相手の攻撃パターンを読み尽くし(シンヨンサコーチの分析と対策!)目に見える対格差を体を張って埋め合い、しのいでしのぎ切ったディフェンスは圧巻だった。「予想通り!」「想定内!」ベンチから声が飛ぶ中、中盤で安定した防御を継続した後、ルーキーWTBシンイルギョンのナイスタッチキックからのラインアウトボールをFОハンファンガンが持ち込んで10分に初トライを奪う。20分には自陣からのロングキックを相手がノックオンしたボールを、これまたルーキーWTBキムレオンが拾いそのままトライ。その後の相手連続攻撃を粘り強いタックルで防ぎ続け、17―14で前半を終える。後半も先手を取ったのは朝大。変わらぬ組織的ディフェンス、体を張ったタックルで相手のアタックを止め続けた後、FBムンミョンイルが自身のゴロパントを押さえる会心のトライ!
と、ここまで会心のゲームであるかのような言葉を並べておいて、最終スコアはどういうことなんだと思われる方が多いのではないでしょうか。
これは全くのラグビー素人の私の全くの個人的見解だと固くお断りした上で書かせていただくことですが(見当違いだったら申し訳ありません)、試合の流れを左右する大きなポイントが二つあったと思っています。一つはムンミョンイルのトライの後の相手キックオフのボールをミョンイルがキャッチしながら、その前にいたFW二人がオブストラクション(相手のプレーを妨害)を取られたプレー。味方を盛り上げ鼓舞し相手の出鼻をくじく最高のトライの直後、イケイケの気勢でかさにかかったアタックを仕掛ける起点となるべきところが、一気に自陣深くに攻め込まれる窮地に一転したわけです。もう一つは前半30分前後の数分間、相手をゴールラインに釘付けにした怒涛の連続攻撃。FWが密集を縦に縦に突進してトライを取りに行きますが、相手も必死の防御であと1メートル、あと数十センチを割れません。何回かのアタックの後、FWでのトライを諦めたのか変化をつけて相手を揺さぶろうとしたのかはわかりませんが、ボールをBKに展開したのです。瞬間ベンチから「なんで?!」という声が上がりました。トライに結びつかなかったという結果論ではなく、二つのポイントに共通するのが、「意志の疎通」の問題ということではなかったかと考えています。誰が捕るのかという些細かもしれない意思疎通がうまくいかなかったがためのオブストラクション。相手ゴール前であと一歩のトライをどう取るのか、15人が同じイメージを持てていたのか、グラウンドとベンチの思惑とイメージは常に同じだったのか、このような課題が局面局面で浮き彫りになったような気がするのです。戦術を理解しくり返し練習しても相手が必死に向かって来る試合で常にその通りの局面、展開にならないのは当然のこと。その都度ベンチからサインが出て互いに確認までできる野球と違い、「次どうするか」のベンチの指示にかなりの制約があるラグビーで、刻一刻と変わる局面をいかに打開するか、その瞬間の最善の一手は何か、その一瞬のイメージの共有、意志の疎通が簡単ではないことぐらい素人の私でもわかります。だからこそ、その「一瞬のイメージの共有」が試合の流れを左右し、それが積み重なり勝敗を決することになることも。ベンチで「なんで?!」と声が出るプレーの選択場面が他にも何回かありました。それは選手とベンチの考え、イメージが全く違うということではないと思います。これも素人の考えですが、選手が必要以上に焦ったり慌てたりしているように思うのです。そして、その背景の一つに、選手数の少なさから来る実戦の少なさがあり、試合慣れしていないことと、もう一つ、選手たちがみんな「いい子」だということが関係してはいまいかとちょっと考えてしまいます。ラグビー部に接する多くの方々、特に日本の方々によく言われます。「本当にみんないい子たちだ」「こんな青年、中々いない」。手前味噌と思われるかもしれませんが私も同感で、「いい子」という言葉には真面目、素直、優しいというイメージが含まれているように感じています。この、真面目で素直で優しい人間性が、激しい戦いの中でマイナスに作用している部分があるのではないかとつい思ってしまうのです。ハーフタイムの円陣でのキムチソン主将の一言に集約されている気がします。「勝ってるのに負けてるような顔してるぞ。笑おうや。笑って勝ち切るんや」。前半終了間際のラストプレーでモールを一気に押し込まれた後、右に展開されてトライを奪われたこと、3点差に迫られたことがその雰囲気、その表情にさせているは明白でした。「悪い子」になる必要はありませんが、もっと「不敵」になっていいと思います。(いくつかある意味の中で、「乱暴で無法なこと」は絶対違いますが)やってきたことに対する絶対的な自信と仲間に対する絶対的な信頼。驕ることなく馴れ合うことなく、揺るぎない自信と信頼の上に成り立つ「イメージの共有」と、その「大胆不敵」な実行。言うは易しを重々承知の上で、期待し信じています。主将の締めの言葉「去年までは負けに慣れてしまってた。今年は違う。慣れへんぞ。勝つ準備するだけや」。必死の練習、真面目な取り組みとこのふてぶてしさの融合をー
次戦は13日13時 対中央大。
(追記)栃木県小山市まで遠路大阪からも学父母が駆けつけてくださり、栃木の同胞、イルクン、栃木朝鮮初中級学校の先生方からあたたかい差し入れと応援をいただきました。
本当のコマッスムニダ!皆様の応援に報いることはできませんでしたが、いただいたエネルギーを選手たちはこれからの戦いに必ずや発揮します!