朝鮮大学校51―22国士舘大学
11月24日、今季リーグ戦が終了しました。4年生にとっては最後のリーグ戦。3季ぶりの全校対戦でした。
この数年間、さまざまな「悔しさ」を間近に見てきたように私には思われます。
選手数の減少と負傷者の増加による棄権・不戦敗の、つまりは試合を出来ない悔しさ。
ようやくこぎつけた公式戦で大敗した悔しさ。
上位校に本気で勝つ気で挑み、跳ね返されて涙にくれた今季数試合の悔しさ。
そして4年生の3人、怪我のために実質2年未満しか試合に出られなかったカンミョンウ、キムグァンウ、ホゴンウクの悔しさ。 彼らの献身的なサポートを受けてプレーしながらも彼らと共にゲームに臨むことを一心に願ってきた4年生の悔しさ。
これらの悔しさの中身が全て同じではないと思っています。しかし、どの悔しさがどう違うのか、私にはわかる由もありません。
悔しさの表出も、試合ごと選手ごとに当然同じではないでしょう。涙や言葉で、表情で悔しさをストレートに出す選手もいれば、無表情の中に、あるいは微笑みの中に悔しさを閉じ込めているだろう選手もいると思います。
私は、いや、ご家族をはじめ彼らを応援する全ての人が、そのあらゆる悔しさの中に彼らの「背負っているもの」を熱く感じ取らないわけはないと確信しています。
そんな数々の悔しさをぶつけたのが、この日の国士舘大との最終戦ではなかったかと思います。
勝たなければ、勝てるはず、負けるわけにはいかない、先手を取らなければ、圧倒しなければーそんな思いが心と身体を固くしたのか、極度な「慎重さ」が「思い切り」を削いだのか、9分にS0リジスがPGを決め先制したものの前半25分までチグハグな動きと連携の連発から2トライを奪われ、ベンチに「おいおい」「何やってんだ」の空気が充満します。25分を過ぎてようやく、「何かの呪縛」から解き放たれたかのように動きが修正され連携が目に見えてスムーズに。
26分、31分にCTBキムスジン、№8キムチソンの4年生コンビのトライで逆転すると、後半は練習通りのアタックとディフェンスを見事に実践し怒涛の5トライ、危なげなく相手を寄り切りました。
今季初勝利にもちろん「笑」の輪は広がりましたが、深いとろこでの満足はチームにはありませんでした。
試合前「今季のベストゲームをしよう」と選手たちを送り出したオヒョンギ監督は、試合後の円陣で「ベストゲームではなかったな。ということは、まだまだ出来るということで、それだけトンムたちが成長しているということだ」と苦笑を交えて激励し、「いい準備をして入れ替え戦に臨み、来年また挑戦するための資格を勝ち取ろう」と檄を飛ばしました。
そう。1部昇格の目標はついえたのではなく、来年に持ち越されたのです。
そして目標への道はたしかに険しく目の前の階段は高く聳えていますが、その階段を着実に、力強く数段登ったという実感は間違いなくあります。
1勝6敗の7位という成績と順位は変わらずとも、勝ち点は昨年の4から13に跳ね上がりました。
2部で優勝し1部復帰を目指す中央大と2点差惜敗の国学院大に5トライ、国士舘大に7トライを奪った攻撃力は積み重ねて来た猛練習が実を結んだ、偽りのない成果であり前進です。
半年間、初めて大学ラグビーを体験した1年生たちも、上位校に対し「到底勝てない相手ではない」という自信と手応えを手に入れました。
12月8日の入れ替え戦。
監督の言う「来年の挑戦権を得るための戦い」。
選手たちのモチベーションは間違いなく「4年生と下級生が共にプレーする最後の試合」でしょう。
円陣の最後、共同主将のキムグァンウが吠えました。
「ええか。4年のために、なんか思うなよ。それぞれ学年は違っても、朝大ラグビー部のために、そして来年入って来る1年のために戦うんや!」
こんな頼もしい彼らが見据える明日を、彼方に望む未来を、どうぞ皆様も一緒に描いてください。
相手は東農大。13時キックオフ。ウリの未来を育む聖地・朝鮮大学校でお待ちしています。